序章:なぜ”仲良し人事”が進行管理を苦しめるのか
広告業界の進行管理として働いてきた中で、評価や査定に理不尽さを感じたことはありませんか?特に、仕事の成果よりも「誰と仲がいいか」「誰に気に入られているか」で物事が決まる会社では、努力が無力に思えてきます。それが、いわゆる“仲良し人事”です。
この記事では、広告業界・制作現場の進行管理という立場から「仲良し人事が組織に与える悪影響」と「その中でも自分を成長させる方法」、そして「次の選択肢をどう見つけるか」について深掘りします。
仲良し人事はどこから始まるのか?
仲良し人事は、評価制度が存在しても機能していない組織に根を張ります。例えば、評価シートはあるが形骸化し、上司の主観で昇格・昇給が決まる。そんな会社に長くいれば、「これが当たり前だ」と思うようになります。
進行管理の仕事は数値化しづらく、成果が“空気”のような扱いになりがちです。クライアント対応も社内調整も、地味だけど重要。けれど評価されない。そんな中で、仲の良い人がトントン拍子で昇進していくのを見ると、自分の努力が空しくなります。
さらに、人事権を持つ上層部が「自分のやり方を肯定してくれる人」ばかりを昇進させていくと、社内はどんどん閉鎖的になっていきます。異を唱える人、改善提案をする人は“空気を読まない厄介者”として扱われ、排除される。そうすると、人は「成果よりも、気に入られること」に注力するようになる。結果、会議の議論は建設的ではなくなり、イエスマンばかりが集まるチームが出来上がります。
こうした空気は若手にも伝染します。「意見を言わず、愛想よくしていればいい」と学習してしまう。これは、組織として非常に危険な兆候です。
体験談:僕が仲良し人事に感じた限界(実話)
ある年、僕は年間100案件以上の進行を担当し、納期遅れゼロ、予算内達成率も高かったのに、評価はB止まり。一方で、上司とゴルフに行った営業担当が、成果に乏しくてもA評価で昇進。
僕は「頑張れば報われる」と信じていた。でも、そのとき初めて「それは幻想かもしれない」と気づきました。正直、悔しかったです。やるせない。でも、そのときから考えを変えました。
「正当に評価されないなら、自分で自分を評価しよう」。そう思ったんです。
それから僕は、他人の評価軸ではなく、自分の中に“仕事の物差し”を持つようになりました。「ミスをゼロにできたか」「クライアントの困りごとに先回りできたか」「次に活かせる仕組みを残せたか」ーー会社に評価されなくても、自分の納得を優先する。そのスタンスに切り替えたことで、気持ちが少しラクになったのを覚えています。
もちろん、そう簡単に割り切れるものではありません。でも、「報われない」と腐ってしまったら、そこから何も得られない。理不尽な環境であっても、自分の心だけは守る術を持っておくべきだと、今なら思います。
仲良し人事の会社はなぜ自浄作用が働かないのか?
仲良し人事が横行する会社には「自浄作用」がありません。なぜなら、評価する側も“仲良し”で固まっているから。現場の課題が上に届かないし、届いてもスルーされる。
さらに怖いのは、「理不尽だと感じる感性」が徐々に失われていくこと。最初は違和感を抱いていた人も、「これがうちのやり方」と自分を納得させるようになり、やがてそれが当たり前になる。そして、自分が評価する立場になったとき、また同じ判断を繰り返す。
そうして仲良し人事は文化となり、組織を腐らせ続けます。表面上は平穏でも、中身は緩慢に崩壊していく。数字では見えないダメージが、確実に積み上がっていくのです。
それでも、腐った組織で成長する方法はある
僕は思います。腐った組織にいても、自分さえ腐らなければ成長はできると。
そのためには、「自分軸」を持つことが不可欠です。誰かの顔色ではなく、自分が納得できる働き方や成果の出し方を明確にしておく。たとえ評価が不当でも、自分の中で「今日も100%出し切った」と胸を張れるなら、成長は続きます。
もちろん、会社という組織に属している以上、その評価制度や文化を完全に無視するわけにはいきません。だからこそ、評価されるための“立ち回り”もある程度は必要です。ただし、それがゴマすり一辺倒では意味がない。
僕が意識したのは、誠実な関係性の中で信頼を築くことでした。媚びるのではなく、相手の仕事を助けることで感謝される。そういう信頼は、いずれ評価にもつながります。
そして何より、「まず自分の仕事は100%こなす」。そのうえで、組織のルールや空気を読みつつ、自分の軸を手放さずに動く。そうすれば、たとえ腐った環境でも、自分だけは腐らずにいられると感じました。
例えば、進行管理という立場は、社内外との調整能力やスケジュール管理、クレーム対応、交渉力などが問われます。これは、どんな業界でも通用する普遍的スキルです。
✔ 無駄な会議を減らす
✔ 無理なスケジュールに”No”と言える交渉力を持つ
✔ 相手の立場を理解して物事を前に進める
腐った土壌でも、自分のスキルは耕せる。
実際、僕が次の職場で評価されたのは、そうした“地味な力”でした。前職では見向きもされなかった工夫や提案が、新しい環境では「すごいですね」と言われた。つまり、あなたの価値は「場所」によって変わるのです。
今いる環境で評価されなくても、それはあなたの実力不足ではありません。たまたま、その土壌が合っていないだけかもしれない。そう考えたとき、見える景色が変わりました。
【チェックリスト】転職か、残留かを判断する基準
以下の質問に3つ以上YESなら、転職を検討してもいいかもしれません:
- 自分の仕事の成果が適正に評価されていない
- 評価の基準が不透明で、仲の良さで差がつく
- 現場の声が上に届かない
- 優秀な人ほど辞めていく
- 管理職も感覚が古く、変化に鈍感
逆に、今の環境でも「信頼できる上司がいる」「やりたい案件に関われている」など、自分なりの軸があるなら、もう少し様子を見るのも一つの選択です。
おわりに:自分の感性を信じよう
会社はすぐには変わらない。社長が変われば……と言いたいけど、年功序列で上がってきた社長なら、すでにその空気に染まっている。
そして、仲良し人事で昇進した人ほど、また仲良し人事で捨てられる。
だからこそ、自分の感性を信じてください。「あれ?」と違和感を覚えた自分を、無視しないで。
進行管理という立場は、社内で孤立しがちだけど、全体を見渡せる唯一のポジションでもあります。その目で、腐った構造を見抜けたなら、あなたはもう一歩先に進めます。
あなたのキャリアは、あなたのものです。
「もう限界かも」と感じたら、次の一歩を考えるのも選択肢
ここまでお伝えしてきたように、「仲良し人事」や不透明な評価制度の中でも、自分軸を持ち、会社に貢献する姿勢を崩さないことはとても重要です。ですが、それでも状況が変わらない、精神的に追い込まれてしまう……そんな限界を感じたときは、「環境を変える」という選択も必要です。
実際、私も「努力しても評価されない環境」に長く身を置いた経験があります。その経験があったからこそ、自分に合った環境の大切さを痛感しました。
今の職場にモヤモヤを感じているなら、まずは情報を集めてみるだけでも大きな前進です。広告業界といっても会社ごとに文化は違い、評価制度がしっかりしている環境や、実力で認めてくれる組織に出会える可能性もあります。
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「今の会社では正当に評価される気がしない…」という方こそ、まずは自分の価値を見直すためのきっかけとして使ってみてください。
環境を変えることは、甘えでも逃げでもありません。自分の強みを活かせる場所に身を置くという、前向きな選択です。
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