序章:広告業界に興味があるあなたへ
広告業界に足を踏み入れたいと思っている方にとって、「進行管理」という職種はあまり馴染みがないかもしれません。華やかなイメージの裏には、営業・制作・進行管理という三者の緊張関係が常に存在しています。この記事では、実際に私が進行管理として体験した「地獄案件」をもとに、三者が衝突する理由と、それをどう乗り越えたかをお話しします。
なぜ広告業界では三者が衝突するのか?
それぞれの立場が違いすぎる
- 営業:クライアントの要望を最優先し、「なんとかします!」と前のめりに受ける。
- 制作:クリエイティブの質を追求し、「こんな納期じゃ無理です」と主張。
- 進行管理:全体のスケジュールや品質を見て、バランスを取ろうとする。
それぞれの目的が違うため、どうしても衝突が起きます。
よくある衝突パターン
- 営業が無理な納期で受注 → 制作が激怒
- クライアントからの方針転換 → 進行管理がスケジュール再構築に追われる
- 制作が希望する時間とコストが現実と乖離 → 営業と制作が対立
このような状況で、進行管理は常に板挟み状態になるのです。
実体験:地獄を見たクライアント対応の日
ある日、大手クライアントから「明後日までに新しい提案資料を作ってほしい」と依頼が入りました。営業は「できます」と即答。ところが、
- クリエイティブは全て一新
- 先方の要望は曖昧
- 納期は48時間以内
という、完全に無茶な案件でした。
営業:「できるって言っちゃったから、よろしく!」
制作:「こんなの無理に決まってるだろ!!」
私(進行管理):(…終わった)
完全に炎上案件。私はこのとき、営業からも制作からも責められる立場になりました。
どう乗り越えたか|進行管理としての交渉術
この状況をどうにか乗り切るために、私は次のような対応を取りました。
①関係者の温度感を把握
まずは営業と制作それぞれと個別に話をし、感情的になっているポイントや妥協できるラインを整理しました。
- 営業:クライアントに期待されているというプレッシャー
- 制作:クオリティを守るための最低限の時間が必要
②“第三案”を用意して交渉
完全な対応は不可能だと判断し、以下の「代替案」を提示しました。
- 一部のデザインは仮素材で提出
- 提案内容を一部スライドで補完
- 納期は24時間延長(営業からクライアントへ交渉)
結果として、全員が「ギリギリ納得できる着地点」を見つけることができました。
③「先回り説明」で三方向へのアラート
- クライアントには営業経由で「調整に時間がかかる可能性がある」と事前説明
- 制作には「仮素材の前提でOKが出た」と共有
- 営業には「これ以上の方針転換はNG」と念押し
④最終判断は冷静に
「どこまでが現実的に譲れるか」を紙に書き出して可視化し、自分の判断基準を明確にしました。
この経験から学んだこと
進行管理は“空気を読める司令塔”
- ただの調整役ではなく、「温度管理」と「情報の交通整理」が求められます。
対話力・観察力・信頼構築が武器になる
- 相手が怒っている理由を聞き、
- 解決できる糸口を見つけ、
- 中立的な立場で「調整」すること。
進行管理にとって最も重要なのは「誰にも味方しないけど、全員を理解しようとする姿勢」だと私は思っています。
進行管理を目指すあなたへ|転職前に知っておきたいこと
やりがいはあるが「気配り型リーダーシップ」が必要
- 仕切る力というより、“感じ取って調整する力”が重要です。
調整=ストレスではなく「バランス感覚」
- 全体を見渡す視点を持てば、混乱の中にも希望が見えてきます。
現場での“修羅場体験”があなたを成長させる
- 何度も炎上案件に立ち向かう中で、交渉術や判断力が磨かれていきます。
おわりに:広告業界の現場は修羅場。でも面白い。
「広告業界ってきつそう…」そう感じる人は多いと思います。実際、楽ではありません。ですが、自分の判断で現場を救える仕事というのは、なかなかないと思います。
もしあなたが、
- 人の間に立つのが得意
- 状況を俯瞰して考えるのが好き
- 無理難題をなんとかしてしまうタイプ
そんな一面を持っているなら、進行管理は天職かもしれません。
他の記事でも、広告業界のリアルや進行管理の魅力を発信しているので、ぜひ読んでみてください!
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