- 広告業界20年以上・営業職からスタートして進行管理に転じた
- 営業・進行管理の両方を経験した立場から三者の関係を熟知
- 現場での衝突・炎上・和解を何度も経験してきた実務経験者
そのイメージは半分正しくて、半分間違っています。三者は同じ目標を持ちながら、構造的にぶつかりやすい関係にある。
この記事では、両方のポジションを経験した20年の視点から、なぜ衝突が起きるのか・どう乗り越えるのかを体験談ベースで書きます。
広告業界の「三角関係」とは何か
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進行管理20年
広告の仕事は、大きく「営業」「制作」「進行管理」の三者で動きます。一見チームに見えますが、それぞれが異なる優先順位を持っているため、同じプロジェクトを進めながら、常に微妙な緊張関係が生まれる構造になっています。
私は営業として入社し、数年後に進行管理に転じました。両方の立場を経験して初めて気づいたのは、「三者の衝突は、誰かが悪いのではなく、役割の構造から生まれる」ということです。
- 営業──クライアントの要望を通すこと・受注を守ること
- 制作──クオリティを守ること・無理のないスケジュールで動くこと
- 進行管理──納期・予算・品質の現実ラインを守ること
この三者が「同じゴールに向かいながら、優先順位が違う」という構造こそが、衝突の根本原因です。
三者の役割と立ち位置──現場目線で正直に書く
営業:クライアントの”顔”として前線を担う
営業は、広告会社における「交渉人」です。クライアントの要望を聞き出し、それを社内に落とし込む責任を持っています。「お金を稼ぐ」部門であり、納期・品質・コストのトレードオフを常に調整しています。
営業時代の私が毎回頭を悩ませていたのは、クライアントの「できるだけ早く、でも予算はあまりない」という要望をどう現場に伝えるかでした。正直に言うと、現場への影響を考えずに「やります」と言ってしまったことが何度もある。それが後で大きな火種になりました。
制作:クリエイティブの”魂”をつくる職人集団
コピーライター、デザイナー、カメラマン、ディレクターなどが所属する制作部門は「モノづくりの中心」です。創造性を重視する一方で、過剰な修正や短納期には強いストレスを感じます。
進行管理になってから制作の人たちと近い距離で働くようになり、気づいたことがあります。彼らが怒るのは「わがまま」ではなく、「このクオリティでは出せない」という職人的な誠実さから来ているケースがほとんどだということです。
進行管理:摩擦を抑える”潤滑油”であり”盾”
進行管理は、営業からの指示と制作側の状況の間に立ち、スケジュール・品質・コストの現実ラインを守る存在です。「両方に気を遣い、板挟みになる」役割です。
私が営業から進行管理に転じたとき、最初に感じたのは「視界が変わった」という感覚でした。営業時代は「なんで制作が動かないんだ」と思っていた。でも進行管理になってみると、「あれは営業の言い方が間違っていたんだ」と客観的に見えるようになりました。
衝突が起きる3つの典型パターン
20年の現場で何度も繰り返されてきた衝突パターンがあります。構造を知っておくだけで、対処がまったく変わります。
パターン①:営業と制作の”納期バトル”
営業担当
制作担当
このパターンで問題なのは、営業がクライアントに「できます」と言った後で現場に降ろしてくること。制作からすると「なぜ事前に相談しないのか」という不満が積み重なります。
進行管理の役割は、ここでスケジュールを再設計し、「どこまでなら現実的に動けるか」の折衷案を両者に提示することです。ただし、毎回進行管理が消耗するだけでは根本解決にならない。営業が受注前に進行管理に一言確認する習慣があるだけで、この衝突は激減します。
パターン②:制作と進行管理の”品質ラインのズレ”
進行管理
制作担当
クオリティの基準が共有されていないと「やり直し地獄」になります。私が進行管理として失敗したのも、このパターンが多かった。「完成」の定義を最初に合わせておかないと、終盤になって大幅修正が発生します。
パターン③:営業と進行管理の”コスト感覚の違い”
営業担当
進行管理
営業は「売上を守ること」が優先。進行管理は「現場が動けること」が優先。この視点の違いは構造的なものなので、どちらが正しいという話ではありません。ただ、リスクの可視化を進行管理がしっかりやらないと、営業は「大丈夫だろう」と判断してしまう。
三角関係をうまく回す3つの考え方
衝突のパターンがわかれば、対策も見えてきます。私が20年で身につけた「三者がうまく回るための考え方」を書きます。
① 進行管理が「伝言係」ではなく「翻訳者」になる
進行管理が「営業がこう言ってました」と言葉だけ伝えるのでは、感情的な摩擦は消えません。背景・意図・理由まで含めて伝えることで、制作の納得度がまったく変わります。
この一言があるだけで、制作の反応は「また無茶を言って」から「それなら頑張ろう」に変わることがある。進行管理の本当の価値は、情報の翻訳にあります。
② 営業が「現場目線」を30%でも持つ
営業が制作や進行管理の苦労を理解しているかどうかで、社内の信頼関係がまったく変わります。私は営業から進行管理に転じて初めて「なぜ制作があんなに怒っていたのか」がわかりました。
「実務を理解している営業」は、受注前に現場に確認する一手間を惜しまない。それだけで、後工程の炎上が激減します。
- 受注前に進行管理に「このスケジュール、現実的か?」と一声かける
- クライアントへの返答前に「制作的に無理なラインはどこか」を把握している
- 制作から「NO」が出たとき、理由を聞いてクライアントに説明できる
③ 制作が「業務の流れ」に関心を持つ
「自分はクリエイティブだけやっていればいい」という姿勢では、チームの一体感は生まれません。スケジュール感・原価感覚・クライアントの事情を理解してくれる制作は、他部署からも一目置かれます。
私が一緒に働いてきた中で「この人は信頼できる」と感じた制作の人たちは、みんな「自分の仕事がプロジェクト全体のどこに位置するか」を意識していました。
広告業界で長く働くカギは「三角関係のマネジメント」
広告の仕事は、決して1人では完結しません。20年間この業界にいて、炎上したプロジェクトも、うまく回ったプロジェクトも、どちらも経験してきました。
うまく回ったプロジェクトに共通していたのは、「三者がお互いの立場をわかっていた」ことです。完全に理解し合う必要はない。「あの人はそういう立場だから」と一歩引いて考えられる余裕があるだけで、現場の空気は変わります。
転職を考えている方へ正直に言うと、広告業界は衝突があります。でも、衝突を乗り越えた先にある「チームで走り抜けた達成感」は、他の業界ではなかなか味わえないものです。
- 営業・制作・進行管理の衝突は「誰かが悪い」のではなく、役割の構造から生まれる
- 典型パターンは「納期バトル」「品質ラインのズレ」「コスト感覚の違い」の3つ
- 進行管理が「翻訳者」になることで、感情的な摩擦は大幅に減らせる
- 営業が現場目線を30%持つだけで、後工程の炎上が激減する
- 三者の関係をマネジメントできる人が、広告業界で長く活躍できる
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